【多気郡】明和町など産学官8団体で麻栽培の振興を目指す「天津菅麻(あまつすがそ)プロジェクト」の成果報告会が20日、同町竹川の斎宮歴史博物館講堂であり、約20人が参加した。6人が登壇し、麻の栽培や産業化を巡り、取り組みと課題を話した。同町御糸地区周辺は麻積郷(おみごう)と呼ばれ、伊勢神宮で使う麻の栽培地だった。麻は栽培許可の取得が難しく、生産者が戦後激減したが、国が法改正し、栽培規制から活用へ転換した。同プロジェクトは同町と明和観光商社、皇學館大学、三重大学、栽培事業者などが令和5年に立ち上げた。歴史文化の継承と麻栽培の担い手確保、産業振興が狙い。同年から国史跡斎宮跡内の遊休地で麻を栽培している。栽培事業者「伊勢麻」の松本信吾共同代表は「3メートルに育った作物を真夏に人力で収穫している。栽培と加工の機械化、効率化が必要」と述べ、「麻を使う神事を守りつないでいく目的がある。使い手の神社、氏子との連携が不可欠。今の値段は安すぎる。後継者が生まれる仕組みとして、神社をみんなで支える氏子会員がいいのでは」と提案した。麻産業創造開発機構などは、収穫機と繊維を取る機械の試験導入や、麻の実を搾った食用ヘンプシードオイルなど商品開発を報告した。長期計画として、麻から糸を作る技術の伝承と麻布製作の拠点づくりや、麻績氏にゆかりがある市町に呼びかける全国麻績サミットの開催、会員制のコミュニティ麻農園などが示された。
【伊勢新聞】麻栽培、機械導入や商品開発 明和町で振興プロジェクト報告