法規制と安全性
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伝統的な栽培、産業、文化
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新たな産業としての可能性
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CBDの可能性
CBD(カンナビジオール)は大麻(産業用ヘンプ)に含まれるカンナビノイド成分の一種で、CBD含有オイルによるリラックス感が人気となり、世界中でサプリメントとしての購買者は増加しており、近年では国内のサプリメント業界でも話題の成分となっています。
国内でCBD原料として認められているのは産業用ヘンプの茎及び種子から抽出されたもののみで(花穂・葉・根の部位は違法)、マリファナや産業用ヘンプの花・葉に多く含まれ、陶酔作用があるため麻薬・向精神薬取締法で規制されているTHC(テトラヒドロカンナビノイド)は含有不可です。
産業用ヘンプに含まれるカンナビノイド類にはCBDの他にもCBG(カンナビゲロール)、CBN(カンアビノール)、CBC(カンナビクロメン)等、60種類を超える化合物が分離されています。国内ではアイソレート(ほぼCBD100%)のCBDを原料とするサプリメントが多いですが、アメリカやヨーロッパでは多くのカンナビノイド類をバランス良く配合したCBDブロードスペクトラムがサプリメントの主原料とされています。
【海外でのカンナビノイド類の適応疾患リスト】
引用:SC Laboratories
人の体内、特に脳内には内因性のカンナビノイド受容体リガンド(内因性カンナビノイド)が存在し、カンナビノイド受容体に作用して様々な神経伝達調節を司り、記憶・認知、運動制御、食欲調節、報酬系の制御、鎮痛など多岐にわたる生理作用を担っています。内因性カンナビノイド・システムが関与する疾患として、多発性硬化症、脊髄損傷、神経性疼痛、がん、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、高血圧、緑内障、肥満、メタボリック症候群、骨粗鬆症などが知られており、内因性カンナビノイド・システムに影響を与える化合物がこれらの疾患の治療に有効である可能性が示唆されています。
カンナビノイドが作用する受容体としてはCB1とCB2の2つがあります。CB1受容体は脳等で大量に発現しており、神経伝達の抑制的制御に関与していると考えられています。CB2受容体は脾臓や扁桃腺等の免疫系の臓器や細胞に多く発現しており、炎症反応や免疫応答の調節に関与されていると考えられます。
【カンナビノイド受容体の図】
引用:カンナビジオールを正しく理解するために
睡眠障害で悩んでいる方がサプリメントとしてCBDオイル(舌下吸収にて接種)を服用するケースが世界的にみて最も多いのですが、カプセルタイプも普及しています。経口的に摂取する方法では、グミ、チョコレートやキャンディー等も一般的です。海外では他にベープ(気化)吸入も多用されています。
さらに、近年では皮膚疾患を対象として、院内処方によるCBD含有軟膏の経皮適用による有効性が示唆されています。
特に皮脂腺の分泌能の抑制及ぶ抗炎症作用により、にきび治療やアトピー性皮膚炎の痒み抑制に有効との報告が寄せられています。同様にCBD含有軟膏が神経の障害性疼痛、関節リウマチの疼痛抑制に対して有効とする臨床試験報告もあります。また、安全性に関してはCBD含有軟膏の90日間にわたる長期的な塗布使用によっても皮膚に対する刺激性やアレルギー反応などの副作用は認められなかったという報告があります。
提供:星子クリニック
【CBD投与による安全性】
CBDが多種にわたる有用な作用を持つのであればこそ、その利用には慎重な対応が必要であることを認識し、CBDが有効かつ安全であるといったエビデンスをシステマティックな基礎および臨床研究を推進し、その有効性と安全性をさらに、明らかにしていく必要性は高いと考えられます。
監修:亀井 淳三 星薬科大学 名誉教授